幕末の思想家「吉田松陰」について、もしそれほど詳しくは無いとしても、多くの人は名前くらいは知っているだろう。
なぜ知っているのだろう?
それは、のちに明治維新を起こして英雄となる数々の武士たちを感化する、力強いメッセージを驚くほど多く残しているからである。
つまり、今の近代国家「日本」の礎を築くのに、強烈な影響を与えた人物として名を残し、語り継がれているのだ。
そんな吉田松陰の思想に少しでも寄り添うのに、これほどお誂え向きな本があったとは…。早速紹介しよう。
「覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰」書評
いきなり結論から言う。
帯に書いてある通り、「不安と生きるか。理想に死ぬか。」「後悔しない生き方とはなにか?」の答えを心に刻み込むために、毎日少しずつでも良い、読み続けようと思う。
自分を表現し、実現する旅を「人生」と呼ぶのなら、間違いなくそのバイブルであり、基本であると言える。
深い深い言葉が、次々と176も書かれているのだが、どのページを開いても名言だらけで、心にグサグサと刺さる。
全てを暗記して反芻しなくてはならない。いきなりは無理かも知れないが、それくらいしても良いくらいだ。
「美学」を貫く覚悟
いくつか紹介する。
世の中の流れに逆らっているのかもしれない。自分にとって大事な人を、敵に回してしまうかもしれない。自分の美学を守るためには、そんな不安と戦うことになります。そのとき不安と向き合うことなく、現状を維持してもいいし、不安と戦いながら、理想をめざしてもいい。ただ、道半ばで倒れたとき、これが自分の人生だったって、笑いながら言えるのはあなたにとって、どちらでしょうか。
95ページ LEADRSHIP060より引用
私は武士でありたい。私が理想とする「武」とは、喧嘩の腕を磨いたり、権力を手に入れたりすることではなく、なにに対して命を注ぐかを明確にし、その迷いを断ち切ることです。
191ページ WISDOM140より引用
「やります」と宣言したことを、とりあえずやってはみたものの、まったくうまくいかずに、恥をかいた。「やります」と宣言したものの、もしうまくいかなかったときに恥をかきそうだから、そうなる前にやめておいた。二人の自分を鏡に映したとき、本当に恥ずかしい人物はどちらでしょう?
59ページ MIND029より引用
心にガンガンと響くのだ。
何しろ、僕はもう50代半ばになったので、時間が圧倒的に不足していることくらいは自覚できるようになっている。
それなら、人生後半戦をどんな心持ちで過ごすべきか?の答えは、自ずと知れて来る。
感情であったり、行動であったり、自身が「こうありたい」という思う美学に、どれだけ忠実でいられるか?
また、人に評価に惑わされず、どこまで突き詰めて行けるかに掛かっていることを教えてもくれる。
逆境や不安に動じることなく、自分が信じている生き方を通すことこそが、心からの満足を得られる生き方だと、松蔭は信じていたという。そう、自分の生き方だけが自分を救ってくれるのである。
まとめ
目指す自分と現実の自分のギャップを埋めるには、とにかく「行動」あるのみ。できるだけ早く行動して、失敗してフィードバックすれば、どんどん成長していける。
王道の成功法則がここにあることは、知識としては皆んなが知るところだろう。やってしまえばいい、それだけなのだ。
毎朝1ページだけで良い。これを胸に刻んでスタートを切れば、必ずや驚くほどの変化があろうことは、想像に難く無い。
「開拓者の心ここにあり」、誇るべき日本の古典のひとつと言える。読みやすいし、〝超オススメ本〟間違いなしである。
森下昌彦(えむもりさん)
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