鉄道マニアにとっての隠れた〝名所〟は各地に点在するが、そのひとつ「山陽新幹線記念公園」をご紹介。特に小さなお子さん連れにはオススメ。
阪急今津線甲東園駅から、徒歩10分ほどの所にある「山陽新幹線記念公園。」新幹線の走行シーンを間近で見られるという点で、知る人ぞ知るスポットになっているらしい。
散歩気分でお気軽に
西宮北口から二駅目、関西学院大学の最寄りで、なだらかな坂が多い閑静な住宅街だ。
うちの3歳の子供を連れて、ウキウキと歩いてみた。
山陽新幹線は、新大阪を出ると6~7分ほどで六甲トンネルに入るが、その入り口がこのあたりにある。トンネルに出入りするフルスピードの列車を、真上から覗き込む迫力は凄まじいだろう。
しかし、そんな期待をよそに、歩いてみると実に静かだ。散歩中のおば様が、うちの子に声を掛けてくれる。そんな雰囲気だ。
「あっ、見えた!」
突如目前に現れる高架橋の上を、「シュン!シュン!シュン!」という風切り音と共に新幹線が通過した。防音壁があるので、屋根しか見えない。決して「ゴッ〜〜!」という轟音ではない。静かとは言わないが、あれだけの巨大物体が時速300キロ近くで通り過ぎる時の音としては、あまりにも似つかわしくない。
坂を登って、公園に足を踏み入れる。
近所の児童公園という感じでもなく、遊具などは無し。とても綺麗に整備されているふうでも無し。ちょっと休憩するのに、ベンチが置いてありますという程度。それでも、僕と同じように小さな子供を連れた親子連れが、3組ほど来ていた。
早速フェンスまで駆け寄って、特等席を確保。眼前に、東に向かってまっすぐに伸びる新幹線の線路を望む。
「来た〜!」
はるか遠くに、新幹線のヘッドライトが輝く。来た。その光が近付くのを、ただ凝視する。ゆっくり音もなくこちらに向かって進んでくる。
いや、〝ゆっくり〟なわけがない。何しろ時速300キロだ。でも、ワクワク感を負ったシーンは、断続的に切り取られて、スピード感が欠落している。音が封じられて一瞬の静寂が訪れる。
「来た〜!」手が届きそうだ。
「ゴッ〜〜〜〜!」
わずか数秒。16両編成があっという間に居なくなった。
わずかな間合いを置いて、子供と目を合わせた。「来たなぁ…」「はやっ!」
二人とも笑顔になっている。これだけで良いよ。やっぱり「新幹線すごい!」
ダイヤを把握しましょう
東海道区間よりは列車間隔が空くので、ダイヤを把握して置いた方が良いだろう。今は時刻表アプリがあるのでその点は簡単だ。
新大阪発車後6~7分ほど、新神戸発車後5分ほどでここを通過することになる。特に神戸側から来る列車は見えないので、急に音が大きくなって、気付いた時には後ろ姿を見送るだけ、ということになってしまう。
たくさんの犠牲もありました
山陽新幹線の工事で殉職された方の慰霊碑が、この公園に建てられている。この便利な世の中が当たり前のようになっているが、それがたくさんの犠牲の上に成り立っていることを時折思い返すことは、とても大切なことのように感じた。
いつも決して傲らない。手を合わせて感謝。
森下昌彦(えむもりさん)
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