僕は自転車は好きだが坂は嫌いだ。下り坂は好きだが、登りのしんどさに、いつもその快感を帳消しにされている。だから「坂バカ(好んで登り坂ばかり走る人)」の心理なんか分からない。
でも麗しの女性サイクリストに「この人かなりヘナチョコ…」なんて目で見られたら、それはきっとプライドが許さないだろう。
女性初心者が自転車にのめり込んで、突き抜けていく様を感じることで、自分にも出来る、進化出来る、と自信が湧き出てくるはずだ。
プライドが満たされるのは、その後でも遅くない。麗しの女性サイクリストを、カッコよくエスコートしようではないか。
「〈坂バカ〉式 知識ゼロからのロードバイク入門」は、自転車の本だが実は自己啓発本でもあった
著者の日向涼子さんは、モデルさんだそうだ。
ごめんなさい。僕はこの手の話にはとても疎いし、自転車雑誌などもほとんど見ないので、存じ上げません。ただ、間違いなくベッピンさんだし、こんな方が目の前に現れたら、どんな男も決して穏やかでは居られない。
その日向さんが、超初心者からメジャーな大会で名を馳せるまでに上り詰める物語が、この本の大筋。
「モデルだから…」じゃない
「知識がない」とは言うものの、タイヤの中にチューブが入っていることさえ知らない、なんてことは無いだろう。この方は、その「無いだろう」に属する類だそうだ。優劣をつける訳ではないが、少なくともその時点では僕の圧勝。それなのに現状は、一方が「美人すぎる坂バカ」でもう一方は「ただの愛好家」である。何故だろう?
こんな時、「モデルさんだから…」と、自分には無い境遇と才能のせいにしていたのでは、ただ呆れるばかり。全く期待できない。いくらなんでも、僕はそんなのでは無いつもりだ。
行動力と探究心
未来を作る原動力は、言うまでもない「行動」のみだ。夢と現状との差は、行動力の差そのものである、と認識する必要がある。
動きさえすれば、必ず1ミリずつゴールへ近づくことができるのだ。信じるも何もない。真実だ。
坂の向こうの未来
小豆島は言わずと知れた、山の島である。つまり「坂の島」でもある。
爽快に海辺を走る快感に変わるものはないが、坂の壁を前にたじろいでしまうのが今までの僕。
しかし、これを乗り越えることで成長できる、この先にこそ未来がある、という目線で自分自身をバージョンアップしていきたい。
自転車好きの楽しい読み物として楽しめるのは勿論、実は「自分の人生だよ。思いっきり楽しまなきゃどうすんの!」と、背中を強烈に押してくれる自己啓発本でもあったのだ。
全ての自転車好きの方、未来を今よりも楽しいものにしたいと感じる全ての方へオススメ。「うん、頑張ろう」と笑顔で前を向けるようになること請け合いである。
森下昌彦(えむもりさん)
最新記事 by 森下昌彦(えむもりさん) (全て見る)
- 「この曲は現在、この国または地域で入手できません」ってなんだ? 〜iPhoneで音楽が聴けない時の対処法〜 - 2022年1月23日
- ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか 〜ドイツ車に乗ってもドイツ人の様にはなれなかった僕が今思うこと - 2022年1月16日
- 年賀状作りはオワコンなのに、僕がそれをやめない理由 - 2022年1月8日