「パンクや!ガビ〜ン、どないすんねん?!」
あの瞬間の絶望感といったら、かなりの破壊力をもって腹の底まで響く。
ロードバイクに乗っていて、一番遭遇することの多いトラブル。それは、間違いなく「パンク」だ。
パンクに至っている訳ではないのに、数日放置しただけで明らかにタイヤが「ベコベコ」になっていた、という経験をなさった方も多いはずだ。
「ママチャリ」じゃなく「ロードレーサー」
「そんなもん」なのだ。
よく知らないけれど、スーパーカーはメンテナンスをかなり入念に行う必要のある代物らしいではないか。そっちのお金もかかる。
ほぼメンテナンスフリーでも、何十万キロも走ってしまう大衆車とは、基本的に別の種類の機械だと認識する必要がある。
ロードバイクも同じだ。自転車界のスーパーカーなのだから、空気圧チェックくらいは乗るたびにするのが当然だ。
そこでの必需品が、フロアポンプ。平たく言えば「空気入れ」である。
コンパクトな「携行ポンプ」もあるが、あくまでも緊急用と捉えた方がいい。足で踏んで固定して、体重をかけて空気を「ギューッ」と入れていくフロアポンプが、結局は絶対に必要になるので、買っておこう。
持っているのに何故2台目が要るの?
いつの間にやら、バイクを小豆島の家に置きっ放しにしてしまっている僕は、2台目のポンプの必要性を感じることになっていた。
何しろ、愛車に乗るのはいつでも「ひさしぶり!」シチュエーションなのだ。まず最初にタイヤに空気を入れる、という作業から始まる。
そのたびに、労力の割には効果が感じにくい携行ポンプでは、さすがに疲れてきた。
ダブル拠点には、それぞれにフロアポンプが必要だ。
そんな大きな出費ではないので、踏み切ることにした。
土庄の「石井サイクル」にお邪魔する機会があって、そのときにご主人から、超プッシュで勧められたのが、パナレーサーのこちらのフロアポンプ、BFP-02AGEZ-S(長っ)。
どこがお勧めかって、一番にポンプの先っちょの形状が、他のものとは全く違う。
このへんのところを中心に、レポートする。
見た目が違う
僕が家に置いているトピークのポンプもそうだが、一般的なヘッドの形状は、こんなものが多い。
フレンチバルブの場合、バルブにヘッドを奥まで突っ込んでから、背面のレバーを起こすと固定される、というあの形だ。
これが当たり前だと思うと、特に不便も感じていなかったが、よく考えてみれば、空気を入れ終わってレバーを戻すときに、「パチンっ」と指を挟んでしまったり、そもそもそれが硬くて動かしにくかったりということがあった。
これを一発で、見事なまでに解決してしまう画期的ヘッドが、この「ワンタッチ口金」というやつ。
このポンプのセールスポイントは、「軽い」とか、まあいろいろあるにはあるが、「画期的ヘッド」の前には、ほぼ論じる必要はない。
常識破り
背中合わせに、青と赤の口金が付いている。青が仏式、赤が米式。それが筒状に繋がっているので、青を押し込むと赤が飛び出す、赤を押し込むと青が飛び出す、という構造になっている。
まず赤を押し込んで青を飛び出させる。青い穴にバルブを突っ込んで、そのまま根元の黒い「柄」の部分を持って「クイっ」と押し込むと、「カチッ」という音とともに、青いところが引っ込んでしまった。反動で裏側の赤いところが飛び出す。
これだけでロックされたので、あとはしっかりと空気を入れるだけ。
外すときも、黒い柄のところをしっかりホールドしながら、同時に赤い部分を「グイッ」と押せば、呆気ないほど簡単に作業終了。
これまでは、外すときにモタモタしていると、「シュー!」とせっかく入れた空気が抜けることもあったが、このヘッドだと、一瞬で外れてしまうので、それもほとんど無いように思われる。
これまでに慣れた使い方とは若干違うので、コツが必要なところもあるようだが、問題ないだろう。
「レバーを起こす、倒す」というワンアクションが省略されるだけで、これほどまでに楽に感じるものかと、ちょっと感動的ですらある。
石井サイクルのご主人の言葉を信じて、即買いしたのは大正解だった。
考えて作り込んだことが感じられると「嬉しい」のだ
しかし、アマゾンのサイトを見ていると、このヘッド部分だけが「交換パーツ」として紹介されていて、耐久性の面で不安があるのだろうかと、訝ってしまう。
その点については、しばらく経たないと答えが出ないが、現時点では、しっかりメンテナンスしようという気持ちに「バァ〜っ!」と火が点いてしまったし、一見してタイヤがパンパンでも、一旦抜いてまた入れ直してみたり、なんか使っていると楽しい、上出来のポンプなのである。
森下昌彦(えむもりさん)
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