チームの熱量 〜すごい集団を作ってみたい〜

90年代半ばの、オリックス・バファローズ最強時代(当時ブルーウェーブ)に、イチローとともに最強外野陣の一角を成した、田口壮氏。ワールドシリーズ優勝の経験も持つ、数少ない日本人プレーヤーの一人である。

現在、そのオリックスの2軍監督をしている田口さんの言葉に、グッと突き起こされた話をひとつ。

温度差

2軍監督に就任した当時、チームの成績は1軍同様に思わしくなかった。全体に元気がない、とは感じていたものの、素質のある選手も多く、どうして結果に結びつかないのかを、掴みかねていたそうだ。

そんな時のある試合。

その日は、終始リードされる敗色濃厚な展開。9回も2アウトまで追い込まれて、最後のバッターの打球がライト線へ飛んだ。

平凡なフライなら「万事休す」となるが、ライン上ギリギリで、微妙なところ。フェア?ファール?

しかも、深い。もしかしてホームラン?

ところが、そこはホーム側1塁ベンチからは、球場の構造上フェンスの死角となって、ボールの行方が見えにくかったらしい。

よく見えるベンチ前まで、思わず飛び出してしまった監督。しかし、振り向いても、そのあとについて来ていた選手は一人もいなかった。

「こいつらは、自分のことしか考えていない。チームの勝敗に興味がない…。」

もちろん、大目玉を食らわしたそうだ。

one for all

「力を合わせましょう。助け合いましょう。」なんてことは、結構簡単に口に出来る。

でも内情は、「自分はすべき事をしている…」だけで終わってしまって、どこか他人事というか、for・ザ・チームの精神に欠けているケースが多いように感じる。どこの組織も似たようなものだろうと、想像できる。

でも、例えば飛び抜けた成果を出そうとするなら、人のポジティブな感情を後押ししあえるような集団であった方が良いに決まっている。

楽しい、って何?

僕の生まれて初めてのアルバイトは、マクドナルドだった。30年以上前のことだが、当時その店は国内でも有数の売上高を誇っていて、とても活気があった。アルバイトクルーへの要求水準も高く、厳しかったので、それに窮屈さを感じて辞めていく者も多かったように記憶する。

でも、残された人たちは、そんな中にあって、ある意味プロ根性を持ってお互いをリスペクトしあえていた。

学生であったり、フリーターであったりした人たちである。「何をそんなに真剣になる必要がある?」と捉える向きもあっただろう。でも、「たかがアルバイトじゃん」という心持ちでは、その場所では浮いた。

決して「仲良し集団」というだけではなく、確かにいざこざもあったが、緊張感があって、何よりも成長を自覚できる環境が楽しかった。

力を持ち寄る

僕は、今でもこの当時に立ち返ることがある。そして、思うのだ。

「チームを作りたい」と…。

ただ、食うために働くのではなく、自己成長と、社会貢献と、厳しさと、優しさと…。遊んでるから楽しいのではなく、夢を目指すから楽しいのだ、と…。

その想いを、仲間とともに共有できることに、1番の喜びを感じる類の人間なのではなかろうかと、自分を深く見つめるたびに、そこへ行きつくように感じるが、果たしてどうなのだろうか?

きっと、僕はリーダーでありたいのだ。想いを伝えられるリーダーでありたいのだ。

手始めであるはずの、家族のマネジメントすらままならないが、笑顔あふれる幸せファミリーを作り上げて見せる。

そして、その先に、必ずエクストリーム・チームのリーダーになる。決めた!

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森下昌彦(えむもりさん)

大阪在住50代。妻と1女1男。  長く医療業界に携わったが、軸足を移すことを模索・実行中。 詳しいプロフィールはこちら