JR奈良駅は歴史都市の玄関としてふさわしいか? 〜価値は頼るものでなく生み出すもの〜

現在のJR奈良駅舎は3代目らしいが、2代目だって今なお現役だ。ただし、観光案内所としてだが…。

それが、僕的には、「何とも惜しいなぁ」という感じが拭えない、〝残念スポット〟的に見えて仕方ない。

立派です

案内の看板によると、「平成16年に、18メートル移動させて再活用している」とある。

曳家工事というやつで、元々の形が完全に残っている。確かに、歴史感のある趣深い建物で、保存する価値は十分にあると思われる。

奈良駅の案内看板

活用されてる?

しかし、現状では、その半分が観光案内所に、残り半分がスターバックスとして利用されていて、この先も長きにわたって、その存在意義を発揮し続けるかというと、甚だ疑問に感じる。

とにかく保存ありき、で話が進んで、手っ取り早く集客が見込めそうなお店を誘致した、という雰囲気を強く感じる。

ハコモノが立派でも、そこにソフトが備わっていないと意味は薄れる。お寺の本堂がピカピカなだけで、観光客が押し寄せるとは考えにくい。

遺産

本気度が感じられない

随分と立派ではあるが、限りなく無機質な奈良駅の新駅舎。その駅前広場に鎮座する、どこか場違いでポツンと残された感が強い、旧駅舎。

ブームが去った後に、お荷物扱いされてしまうスポーツ施設とか、そんな感じの物悲しさを伴って映るのは、「攻めてない」のが分かるからだろうか?

綺麗でしょ?歴史あるでしょ?懐かしいでしょ?と手を広げているだけでは、誰も足を運んでくれないのだ。

スタバクリスマスバージョン

100年後に東大寺がなくなっていることは、まあ有り得ない。100年後に、JR奈良旧駅舎が、引き続き保存されているだろうか?

率直なところ、かなり疑わしいと言わざるを得ない。本気が伝わってこないのだ。

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森下昌彦(えむもりさん)

大阪在住50代。妻と1女1男。  長く医療業界に携わったが、軸足を移すことを模索・実行中。 詳しいプロフィールはこちら