「関空水没」にみる歴史の分断 ~未来のために、過去を「活かす」のだ!~

毎年恒例の「今年の漢字」だが、昨年は「災」に決定したようだ。

大阪でも、台風による強風と高潮で、ずいぶんと大きな被害が出た。

4ヶ月程経った今でも、その爪痕を垣間見ることが出来ることからも、その破壊力たるや凄まじかった。

中でも、大阪以外に住む方にも、一番衝撃的に伝わったのが、「関空水没」だろう。

想定外?

360度周りを海に囲まれた、海上空港である。しかも関西経済にとっての生命線とも言うべき関西空港が、万全の対策を取っていなかったとは考えづらい。

それでも水没したのだ。驚いた。

その陰に隠れたようになってしまったが、大阪湾の何処かしこで、観測史上最高潮位を記録したそうだ。六甲アイランドあたりは、かなり深刻だったように聞く。

これも想定外で済ませる気?

「南芦屋浜」と言う地域があるのだが、住宅地であるその一帯も水没の憂き目に遭った。まだ新しい街だ。

「ここは大丈夫」という触れ込みを信じて移り住んだ方々が、「欺された!」と大騒ぎしている、と報じられた。

残念だが、欺されたのだ。周辺の埋立地がハザードマップで真っ赤に塗られているのに、「ここだけは大丈夫」を簡単に信じた方も信じた方…。

酷い言い方かも知れないが、欺されるにも理由がある。

止水パネル
対策はあちこちに…

しかし、僕は辛い目にあった方々を突き放せと言いたい訳ではない。

この時、強風が吹き荒れた大阪市内にも、もちろん高潮は押し寄せた。それでも比較的被害が小さかったのは、海岸部の堤防を、第二室戸台風クラスにも耐え得る仕様に整備していたから、だと言う。

第二室戸台風は、昭和36年に大阪湾を直撃している。

60年近く前に「やっつけられた」経験から、それに備えた側と、見込みが甘いと言うか身に染みていなかったが故、低~い基準に違和感を覚えられなかった側…。

技術が高いであろう新しい方が、心構えで勝る古い方に負けた好例である。

そこで…

行動を起こす時、大切なのは「今」に着目すること。

必要以上に未来に不安を感じたり、「あの時ダメだったから…」とネガティブな過去のイメージを引きずったりは、足枷にしかならない。

しかし、経験は何よりも尊い。未来に活かすための過去の振り返り行為は、立派な「フィードバック」である。

常識がどんどん覆されていく現代である。足元が揺らいでいることを自覚しないといけない。

けれど、今この瞬間は「過去からの続き」であることもれっきとした事実だ。

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森下昌彦(えむもりさん)

大阪在住50代。妻と1女1男。  長く医療業界に携わったが、軸足を移すことを模索・実行中。 詳しいプロフィールはこちら