小豆島の〝放牧養豚〟の鈴木農園さんの話 〜一見原始的だけど未来的〜

小豆島の鈴木農園さんから、豚のお肉が届いた。

昨年秋の、「焼失小屋の再建クラウドファンディング」のリターンである。

お肉はとても美味しかったし、子供たちも喜んだ。それで良いんだけれど、「美味しかった」は、それはそれは多くの過程を経た結果なんだ、って分かる子であって欲しい。

きっかけ

2015年7月の「ペチャクチャナイトin小豆島」で、実は鈴木さんとはお会いしている。

平たく言えば、小豆島へ移住された方々が「こんな面白いことやってます」って、発表する会だったわけだが、でも、僕が時間に間に合わなかったので、鈴木さんのお話は聞けないままだった。

豚の放牧

鈴木さんがチャレンジしておられるのは、「豚を放牧で育てる」ってこと。

少し聞いただけだと、「それがどうした?」って感じ。でも、食肉を生産するという観点で言うと、狭い場所でたくさん飼える「舎飼」の方が有利なのは明らか。だから、今さら「放牧養豚」なんて、何言ってるの?ってことらしい。

でも〝ホンモノ〟を求める声は、食べ物の世界にだって当然届く。

動物は自然の中を走り回って、陽を浴びて、パクパク食べて、グタぁーと寝る。それが当たり前で、そうすることでストレスなく大きく育つ。

付随した効果としては、土壌が改良されて綺麗になるとか、食物残渣を減らせるとか、要は遊休地再生や循環型農業の実現に繋がるということだ。

「アニマルウェルフェア」と言うらしいが、動物にも良い環境を用意してあげよう、という考え方。巡り巡って人間様も良い恵みに有り付ける、は言うまでもない。

「素晴らしい」と思った点

僕は、直感的に「これいいなぁ」と思ったわけだが、果たして何が良いのか?

  1. 小豆島だから
  2. 体に良さそうだから
  3. 美味しそうだから
  4. 頑張っている人を応援したいから

1は、いわゆる「地産地消」ってやつで、悪くはないけど小豆島以外の人にはあまり響かないだろう。「勝手にやって!」って言われるだけ。

2と3は、確かに美味しかったけど、「食べ物なんて3食インスタントでも平気」って人もいる。これも「勝手にやって!」かな…?

だから、やっぱりここは4の登場。

豚の絵ハガキ
丁寧なお礼状をいただきました

効率重視社会の次に来るもの

この世の中、それこそモノなんていくらでもある。溢れかえっている。

50歳を超えた僕が最近感じることだが、そのモノに対する人々の感謝の念というか愛着というか、確実にそれが欠如してはいないか?

溢れかえっているんだから、仕方ない。

そして、愛情が減ると、世の中が殺伐としてくるのも仕方ない。

均質で悪くはないが、どこにも「手が込んでいる」と感じさせてくれるものがない、ほどほどに安いモノ。

欲しい時に欲しいだけ無いかも知れないけれど、愛情深く心を込めて「あの人」が作ってくれた、世界で唯一のモノ。

「豊かさ」って、多いとか少ないとかのことを言っているんじゃないことが分かる。

いただきます
「いただきま〜す」

モノ社会からの脱却

溢れかえっているモノや情報に、飽き飽きしている。

僕だけじゃないと思う。それが「嘘っぽい」と感じる人が増えている証拠だ。そこで頼りになるのは、「あの人なら信用できる」という感覚。

それを見抜くのは自分自身なので、しっかり目を見開いておかないといけないわけだが、何れにしても「人を選ぶ」という時代が来たことは、疑いがないのだ。

だから、「これからも頑張って、鈴木さん」。

鈴木農園さんのフェイスブックページはこちら

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森下昌彦(えむもりさん)

大阪在住50代。妻と1女1男。  長く医療業界に携わったが、軸足を移すことを模索・実行中。 詳しいプロフィールはこちら